天使みたいな死神に、恋をした

 
「綠さんはそのことは知ってるの?」

「もっと詳しく知っていると思いますよ。ほら、ルーインが話しているはずですから」

 その言い方からして私には言っていない何かしらを知っているってのは確実だ。

 教えてくれてもいいのにって思うけど、聞かない方がいいことってのもあるだろうから、敢えて聞かない。


「よし、じゃ行け」

 ルーインがそう言うのを合図に綠さんは玄関を……


「じゃ、私も」
 
 綠さんと一緒に部屋の中へ入ろうと、一歩踏み出したところで、

「翠さんはここで大丈夫です。こちらで私と一緒に待ちましょうか」

 と、死神に腕を掴まれた。

 氷のように冷たい感覚が腕から伝わりぞわりと腕が鳥肌になる。

 やはり以前感じた『温かい』と思ったのは間違いだったのか。今のアンジュラの腕はとても冷たく感じた。

 そんな私の可哀想な腕をなんとなーくアンジュラから離すことに成功し、


「綠さん一人じゃ心配じゃない。ほら、私いたほうが何かと役にたつかもしれないよ。女同士だしさ。それにもう乗っ取ろうとかそんなことができないんだから一緒にいてもいいでしょ?」

「死んでまで男女の別はありません」


 ですからダメですと首を振るアンジュラを不思議に思い、綠さんに目を向けた。