「出来るって。お別れする方法あるみたいですよ」
後ろで二人が騒ぎ始めたけど無視を決め込むが、
「おまえはまたそうやって勝手なことを! ふざけんな。絶対やんねえからな」
「ほら、出来るって言ってるようなもんじゃん」
「言ってねーな」
「一回くらいいいでしょ? このままじゃ可哀想だよ」
「あのな、おまえなあ、こいつはさっきまでおまえの体を乗っ取ろうとしてたんだぞ。
でもそれをしたところでこの男が振り向きもしないって分かったからやめるとか、俺らが離れないからみすみす諦めたとかありえないことされてんだぞ。
そんな奴のことを可哀想とか思うな! むしろ真逆のことをしろ」
「そんなこと分かってるもん! 私が言ってるのは信二君のほうだよ。彼がこのままじゃ可哀想すぎるでしょ。ねえ、アンジュラ!」
こうなりゃ困ったときのアンジュラ頼みだ。私だってさっき彼女が言ったことに対してカチンとこなかったわけじゃないし逆に怒りだってちゃんとわいている。
でもそうしてまでも彼に会いたいと思ったんだし離れたくないって思ったのも事実なんだったら、
もし私だったら……
同じような立場だったら、目の前にそういうチャンスが転がっていたら……
「ええと、翠さん、変なことを考えてる途中ですみませんが、それをする理由は私たちには無いかと思いますが」
そう来ると思った。
だけど、ちゃんと答えは用意してある。
「私のことを間違えたのは誰? 誰かさんたちが間違えたからこうなってるんだよね。じゃなかったらさ、最初の選別で間違えなかったら私も緑さんもこうはなってないよね? ね? ね?」
天使と死神の二人を交互にうかがう。
これを言われると何も言えないのを私はもう分かってる。
案の定、さっきまでまくし立ててたルーインも口を貝のように閉ざし、眼光だけで無言の圧力をかけている。

