天使みたいな死神に、恋をした


 一つ大きく頷くルーインは勝手に納得している。
 
 一つ大きく深呼吸をして思い切り両手で天使を押しのけようと試みる私。

 なんだよやめろよと文句を言うルーインと、どきなさいよ! と押し続ける私。
 
「いいですいいです二人ともやめてください。埋もれているように見えるかもしれませんけど、私にはこの壁は無いものと同じですから。あんまり関係ないんですよ。ですのでその辺でとめてくださいね二人とも。やかましいですから」

 と、半分埋まったまま淡々と言うアンジュラ。

 そうなんだろうけど、見ているこっちとしては可哀想なかんじになってしまう。

「そろそろ連れ戻して来いよあいつ。もうそろそろいいだろ」
 
 お前が行くのが当たり前だろうとでも言うように私に命令する。

「なんで私なの」

「お前が来るって言ったんだろうが。さっき理不尽なことしたんだから今回はお前がやれ」

「またその話もってくる。ごめんて言ったじゃん、あんたが行きなさいよ!」

「なんで俺、ってあんたって誰にむかって言ってんだよおまえは」

「天使でしょ。だったらなんとかしなさいよ」

 小競り合いは平行線で継続。アンジュラはそんな私たちを何事もなかったかのように横で眺めながら不思議そうな顔をしていた。

 とまぁ、こんな喧嘩じみたことをしている間に綠さんは気が済んだのか、こちらに向かって歩いて来るところだった。