綠さんに先導してもらいながら着いてく形になった私たちは会話ひとつなく静か。
オートロックは通り抜け、壁も通り抜ける。
そしてエレベーターも通り抜け、ふわりと浮かび上がり目的地8階まで飛んだ。私は一人では飛べないので緑さんの腕につかまって運んでもらう。
8階へ飛んでる間もアンジュラとルーインが後ろにいる気配をひしひしと感じた。
緑さんのうちは最上階にある。ゆったりと飛んではいるけれど、緑さんの心境は複雑だろう。これから自分が確実に死んだってことを確認するわけだ。
百パーセント、こっちには戻って来られないと知ったらどんな悲しみがあるのだろうか。死にたいと言っていたその心はどこから来たのだろうか。それが少なくともあと数分の後に見える。
そこからが本当の問題だ。
緑さんが戻らないと言い張ったら私はどうしたらいいんだろう。
もし彼女が行方をくらませたりしたら、私はどうなるんだろう。
不安なことを考えても不安は不安しか連れてこないって分かっているけれど、それでも考えてしまう。
ちらと緑さんを見た。
何を考えているのか分からないくらいに冷たい顔をしていた。
落とされないようにぎゅっと捕まりながら生唾をごくりと飲んだ。

