「行く前に一つ約束しろ」

 ルーインが行く手を遮った。

「おまえは自分がちゃんといなくなっているのをその目で確かめたら、きっちりとアンジュラの元へ行けよ、いいな。そこで逃げようとか思うなよ。逃げたところでおまえは俺らから逃げられない。どんなにあがこうと無駄なことだと理解しろ」

 まだ綠さんが何も言っていないのに、勝手に断定。

「でも、もしアンジュラさんのところに行ったらあの映像で見せられたようになるんですよね。私はあのサークルに」

「おまえしつこい。サークルにはいなかっただろうが。これ以上言ったら強制的にぶち込む」

 緑さんは天使の暴言を聞いて最後の言葉は飲み込んだ。
 
 何をそんなに恐れているのかなんとなく想像はつくものの、その映像とやらを見ていない私にはさっぱり分からなかったが、アンジュラとルーインと綠さんの3人には分かっているように見えた。

「一番最悪のとこを見せただけだから、たぶんあそこまではいかないと思う。だよな、アンジュラ」

 前置きなしにアンジュラにボールを投げた。
 
 アンジュラはといえば、慣れているような、また始まったかというようなかんじで首を横に振り、


「調べないと分かりませんが、彼女の罪の内容によりけりでしょうね。人を殺めていないので一番最悪なところに行くことにはならないと思いますが。重ねます、調べなければ分かりかねます」

「な」

 強引に断定し話を切った天使は、『行くならさっさと行け』と手をひらひらと振り、両手を頭の後ろに組み大あくびを一つ。

『見えませんが私たちは後ろにいますから、安心してくださいね』と耳打ちした死神に、

『うん、よろしく』ほっとした。正直あんなことを言ったけど、二人になるのは怖い。緑さんておとなしそうな顔してるけど、実際中身は怖い。