時間なんて存在しないって言いたいんでしょ?

 もうしっかり頭に刻み込まれてるから!
 

 綠さんが自分の行くべきところに行ってくれないと私は自分の身体に戻ることができないと言うと、また下を向き黙り込んでしまった。

「だから、おまえがアンジュラの元へちゃっちゃか行ってやんないと、こいつは元の身体に戻れなくて、あと3日でこいつの身体は動かなくなって、理不尽ながらこっちの世界に嫌々来ることになる。つまり、お前が一番の元凶ってわけだ」

「ねぇルーイン、あんた本当にそれで天使? 何その言い方、ちょっと言い過ぎだよ。アンジュラの方がよっぽど天使っぽいけど? いまのところは」

「見た目に騙されるな」

「見た目はそのまんま死神」

「えええ! 死神なんですか」

 綠さんはルーインの後ろに隠れ、ルーインは面倒くさそうに舌打ちした。



 天使の舌打ちなんて聞いたことないよ。

 

「まぁ、いいとしてだ、おまえがあのバスに飛びこんだ理由を約束通り教えろ。お前もこいつの体を見ておきたいって言っただろ」

 自分の後ろに隠れた綠さんを無理矢理前面に引っ張り出した。

 恐るべしヤクザ天使。

 しかしなぜ緑さんは私の体を見ておきたいって言ったんだろう。なんでそんなこと思ったんだろう。


 そして、最初に綠さんが言ったのは、


「こっちの世界に来るなら、この白い世界のところに行きたい」

 と決意のこもった硬い声で言うのを、ルーインは瞬殺した。