*土方side* 『ザァァァァァァァ・・・』 一人の少女を、強い雨が打つ。 橋の欄干に掴まり、泣いているのだろう。 嗚咽が、闇の中に響いていた。 『濡れてますよ?』 泣いている少女に、そっと声をかける。 でも、首をふるふるとさせるだけで、泣き続けているだけだった。 『親が心配するんじゃないのか?』 そう、言った時だった。 『父様も、母様ももういないっ、だから・・・』 ――――だから、放っておいて。