*市村 鉄之助side* 「おい、待てぇっ」 何日も走り続けた。 何度も、官軍に捕まりそうになって。 その度に、必死に死に物狂いで逃げて。 もう、今の僕には新撰組という旗を背負った、武士の影は無いだろう。 それでも、いい。 手に握り締めた、遺髪と遺影をちらりと見る。 凛々しい、副長の姿。 薄汚れた自分には、到底及ばなかった偉人。 今頃、戦っておられるのだろうか?