「はぁ――――ありがとうございました、一条さん」 「・・・あぁ」 いつの間にか、体の震えは止まっていた。 ただ・・・ 「一条さん、克服、したんですね」 そう、微笑む市村に微笑み返す。 克服とは、きっと絢の自殺のことだろう。 もし、そうなら。 克服なんて出来てないさ。 だって・・・ 「それは、まだかもしれないな」 まだ、こんなにも手が震えてる。