雨がザーザーと降りしきる6月のある日。


仕事を終えた私は足早に、家への道のりを歩いていた。寒くはないけれどじめじめした空気にまとわりつかれ薄手のワンピースが体に貼りつく。


本当は恋人である圭と一緒に食事でも……と思って選んだワンピースだったけれど、この雨のせいで仕事が遅れているらしく今日のデートは延期になったのだ。


圭の仕事は運送業。天候が悪ければ道は混雑するし荷卸だって容易では無い。だから仕方のない事。


ふぅ……と溜息をつき一人暮らしの家から近い公園を横目で眺める。


とその時。


「キューキュー」


「え?」



雨音に紛れて、小さく、不思議な泣き声が聞こえてきた。