警察に保管されている衣装ケースの一番下に、血をたっぷりと吸って真っ黒く変色した帽子が、すくい上げられなかった残りの肉の塊と、丸められたビニール袋と一緒にまだ残されていた。 本体は身元確認に回されている為、ここには既にない。 残された液体と細々した肉の破片の中に混じって溶け込むように、帽子がそこに自分の存在を告げていた。 それを見つけたと報告を受けた警察は、『もう一度署まで来て下さいませんか、お伺いしたいことがございますので』という電話をまなみに入れた。 【完】