報われない恋の結末


「で、どうなったの?」

「もう、終わりました」

「終わった?」

「はい、僕はもうあなたにこれが伝えられて良かったと思っています。あなたは今は苦しいでしょうが、きっと彼氏さんが守ってくれますから安心できます。今タクシーでこちらに向かっていますしね」

「...なんでそんなこと分かるの? さっき電話で話したのに」

「お願いがあります。あなたがご自宅に帰る前に今すぐここから警察を呼んであなたの家に向かわせてください」

「敏夫が来たら一緒に帰ります」

「ダメです。これは私の最後のお願いです」

「...あなたの言うことを聞く理由は...無い」

「牛乳には睡眠薬が仕込まれていました」

「......」

「これでお願いできますか?」

「どうしてそんなことが...」

「最後のお願いなんです。僕はこのままでほんの少しでいいですからあなたの記憶に残りたいんです。ですから今ご自宅に帰られては困るんです」

「...意味が分からない」

「お願いです。形のあるままであなたの前から去りたいんです。この姿以外は見せたくないんです」

「何言って...」

「僕は恋をしたことがありませんが、きっとこういう気持ちなんでしょうね。最後にこういう気持ちを味わえて、良かった」


 言っていることの意味が分からない。



 この人があの卑劣な男の犯行を暴いてくれて、DVDを探し出してくれたことには感謝するとしても、勝手にうちに上がり込んだのも事実でしょ?

 そんな人の言うことを聞く理由なんて無い。