階段を降りきった時、目の前に一台のタクシーが止まった。
中から中年の男が出て来て、焦ったように2階を見上げた。
目の前で立ち止まっている中年の男を不信に思い、敏夫は『どうしたんですか』と声をかけた。
「あ、あぁ、どうもこんにちは。あなたはここに住んでいる方?」
「あー...」
「あそこ、ほら、2階の今玄関が開いている部屋、誰かいます?」
「は?」
「いやね、すいません。あそこに住んでいるのは私の娘でしてね。連絡がつかなくてこうやって見に来たんですけど、誰かいたらあれかなって思いましてね」
「......部屋開いてますからね、娘さんいるんじゃないですか?」
「ははは、そうですね。いやいやすみません」
そういうと中年の男は階段を上がっていった。

