「でも、もう気持ちいいだろ」


あまりの自由っぷりに口を開け、肩から頬からあごから、ポタポタと雫が落ちていくのを感じます。


「〜〜っふ、あは。そうだね、涼しい」


思わずこみ上げた笑いをそのままに身をよじりました。

久しぶりに会った夏樹くんの中身は全く変わっていなかったようです。


一瞬だけ、ふわりと笑った彼。

それは花のように。


仮にも男に向かって花はおかしいとわかっていてもそう見えてしまうのです。


無愛想。無口。無表情。

そんな夏樹くんが笑う姿に昔からわたしは弱く、構ってきたのだから。





弟のように。