「よっ」


枝を手探りで掴み、登っていきます。

つ、疲れますよね、普通に。


「そこらへんでいいんじゃね?」

「りょ、了解ィイィ……」


ぜはぜはと息が苦しいです。

運動不足って恐いですね。


横に並んで座った彼は(苛立つことに)平気そう。


「空、綺麗だな」

「え?」


見上げると光る星の欠片。

どれが何の星座かはわかりませんが。


し、仕方ありませんよねっ。

わたし、勉強は無理なんですよ。


さすが田舎、と夏樹くんの声がします。


「星を見たのなんか、いつぶりだろ……。綺麗、だねぇ」


田舎らしい楽しみなんて、ずっとしていなかったことに気づきました。