都会っ子に田舎、自分の地元を案内されるなんて。

今さらながら可笑しくありました。


「あれ、夏樹くんも食べなよ」


返事も聞かず、ほら、とつまんだ木イチゴを彼の口にむぐっと押しこみました。


「おいしいでしょ?」

「……ん」


あら。いつもより無反応です。

背を向けて、突然ばばばっ、とスピードアップ。


木イチゴ狩りに来てもなつみかんを持って来ていたらしい彼が帰り際にくれたそれは、わたしの朝ご飯となりました。

そして、それは木イチゴよりも甘い気がしたのでした。