「ばっちりだな」


夏樹くんの言葉で前を見ると──赤、赤、赤。

一面赤で溢れていました。

宝石箱を逆さにし、中身をぐわっしゃがっしゃと振り落としたよう。


「木イチゴだあ!」


瞳がキランッと光ったのが自分でもわかりました。


「ほら」


夏樹くんに手渡されたものは、

「袋?」


「そこに入れて帰るんだよ」

「そのためのリュックか。
用意周到だなぁ」