どうしてヨシはあんなに頑固なんだろう。

本当に、私のことが嫌いなのかな。

ううん、嫌われてるはずがない。私にはわかるんだ。

ヨシは照れる時、絶対に相手の目を見なくなる。

不機嫌そうに眉をしかめて、神経質になって。

私といる時のヨシは、なんだか少し、不機嫌なことが多い。

だけどそれが、私といることがイヤってことじゃないって、なんとなくだけどわかる。

なんとなくだけど、絶対。

幼馴染みだから、わかるんだ。

「それで、ヨシくんとは仲直りできると思う?」

校門を抜けて、下駄箱で靴と上履きを履き替えながら、麻里亜ちゃんが訊いてくる。

片足立ちでバランスを取りながらかかとを入れていた私は、意味もなく天井を見上げた。

白いペンキが塗装された、打ちっぱなしのコンクリに、直線蛍光灯が並んでいる。