昨日ヨシは、私に帰れって言った。

その前に、「帰れとまでは言ってない」と言ったのに、やっぱり結局、帰れって怒鳴った。

矛盾の理由はわかんない。

でも私はわかるんだ。

ヨシはきっと、たぶん、後悔してくれてる。

そうでなくても、あんな風にいきなり怒鳴った理由があるんだ。

もしも嫌われていたら、立ち直れない。

だけど、ヨシはきっと、私のこと嫌いになったんじゃないって、わかるんだ。

ううん……そう思ってないと、耐えられないだけかもしれない。

ひとり、学校への道を歩く。

市電もひとりで乗ったし、ひとりでお金も払ったし、ひとりで大通りも歩いた。

私以外の生徒もたくさん見るようになって、最後の直線、もうすぐ学校――というところで、ぽんぽん、肩を叩かれる。

振り向いた私は、

「む、みゅ?」

「ふふふぅ、引っ掛かったあ~♪」

「ま、まりあちゃん……」

ぷにゅ、とほっぺたに人差し指を刺された形で、固まった。