すうん、と加奈が肩を丸める。
「そんな別に、いつも不機嫌なんて思ってないよー?」
「そう? どうだか」
軽く意地悪な声で返事。
彼女と一緒にいたいのを望んだくせして、二人きりの空気に耐えきれず、
机の脇に置いている鞄から本とメガネケースを抜いた。
しおりを挟んでいるページまで飛びながら、メガネをかける。
「で、なんか今日は用だったの? まだ昼にもなってないのに」
「んー、用ってほどのことは、特にないんだけどね」
「ふうん」
特にないのに、今日も来たんだね、加奈。
僕はそれがとても嬉しくて、とても疎ましい。
きっと彼女は、無理やりに口実を見つけて、ひねり出して、ここに来たはずだ。
自惚れでしかないけど、それほどまでして僕に逢いに来てくれる。
嬉しくてどうしようもないのに、疎ましくてどうしようもない。
そんな、また矛盾。
自分のために一生懸命でいてくれる女の子が、かわいく見えないわけがないのに。
「そんな別に、いつも不機嫌なんて思ってないよー?」
「そう? どうだか」
軽く意地悪な声で返事。
彼女と一緒にいたいのを望んだくせして、二人きりの空気に耐えきれず、
机の脇に置いている鞄から本とメガネケースを抜いた。
しおりを挟んでいるページまで飛びながら、メガネをかける。
「で、なんか今日は用だったの? まだ昼にもなってないのに」
「んー、用ってほどのことは、特にないんだけどね」
「ふうん」
特にないのに、今日も来たんだね、加奈。
僕はそれがとても嬉しくて、とても疎ましい。
きっと彼女は、無理やりに口実を見つけて、ひねり出して、ここに来たはずだ。
自惚れでしかないけど、それほどまでして僕に逢いに来てくれる。
嬉しくてどうしようもないのに、疎ましくてどうしようもない。
そんな、また矛盾。
自分のために一生懸命でいてくれる女の子が、かわいく見えないわけがないのに。

