「ほら加奈ちゃん、上がってってちょうだい」

と、えくぼ全開のヨシママ。

「はぁい、それじゃあお邪魔しまーす」

最初からそれが目的だった私は、回覧板を渡してからそそくさ、ちゃっかりしめしめ、上がり込んだ。

いきなりヨシの部屋に行くのはお行儀が悪いし、ヨシママの後ろについていく。

回覧板を持ったヨシママは、リビングまで私を案内した。

「すぐヨシも降りてくると思うから、ちょっと待っててちょうだい。あ、座っててちょうだい。今なにか飲み物入れてくるから」

ちょうだい、っていうのが口癖のヨシママはそうして、リビングと続きになっているキッチンへ歩いていった。

うちのお母さんより少しふっくらしてるヨシママは、なんだか友達みたいに話しかけてくれるし、優しいから好きだ。

昔っからたくさんお世話になった記憶がある。

クッキーの作り方を教えてもらったり、とか。