――多くはない言葉を、やたら時間ばかりかけて言うだけ言った僕は、

「ィエェェェェンンッ!!」

とてつもなく威勢のいい声と、木製の戸板を叩き割ったような音に、びっくりした。

だけど、正面にいる彼はそんなもの、聞き慣れたもんだとばかりに涼しい顔をしている。

女子一同曰く「かわいい」分類である彼は、

「へっ」

と、少し不機嫌そうに笑った。

腰に両手をやりながら、ふんぞり返る。

「今さらなんの用かと思えば……そんなこと言いに来たンすか、園田先輩」

「大事なことだと思ったから来たんだ。ちゃんと、話つけにさ」

「話つけにって……もうあれから何日も経ってるンすよ? 今さらっすか」

「それは、考えてみれば僕は君のことまったく知らなかったし、いったいどこでどのタイミングで捕まえればいいやらで……」