だれも来なければずっと、本当に、加奈の気がすむまでいくらだってこうしていてあげたい。

だから、だれも来るな。

ここは自転車小屋で、まだ自転車がいくつかあるということは、だれかが帰る時には仕方ないのかもしれないけれど……

だれも来るな。

一秒でも長く、加奈が望むまま、こうしていたい。

だれも来るな。

僕は切に、ただそれだけを願っていた。