僕は本を読んでいた。

いつもどおり図書室で、彼女を待ちながら。

そして夕焼けの頃、ようやくやって来たかと思った加奈は、ほの悲しい白い表情をしていた。

日に照らされている反作用で、どこか亡霊のようにさえ見えてしまう彼女。

いつもと違う様子に、どうしたんだよ、と訊ねずにはいられない。

彼女は、

「ヨシのバカ」

と、なぜかいきなり、僕を罵った。

罵って、一歩、近づいてくる。

なにか様子が変だと思った。

思ったときには、彼女の細い指が胸元で揺れるリボンにかかっている。

驚くより目を疑い、目を疑っている間に、驚くタイミングを逸した。

彼女は突然するりとリボンを取り、自然な流れでそのまま、ブラウスのボタンを上からプチプチと外した。

なにしてるんだよ、と、訊くべきなのに、少しずつあらわになっていく彼女のもろ肌に見入ってしまい、言葉を出し惜しむ。

僕の汚い欲望が、彼女の行為を止めようとしない。

ああという間に、彼女の胸元からへそまでが、白く覗く。