「加奈を前にして、恋人という関係になって、それで、僕は僕を抑えられるか……
自信がなかったんだ。
キスをしたいとか、抱き締めたいとか、そういうのはみんな、男の身勝手な欲望だって思ってた。
加奈をけがしてしまう……。加奈をけがしたくもなければ、そんな自分になんてなりたくない。
そればかり、考えてた」
加奈は、じっと僕を見つめたまま、なにも言わない。
いや、なにも言わないんじゃない。
今は、僕が言わなくちゃいけない時間なんだ。
「いろんな人に相談もした。というか、お説教された。
でもおかげで、いろんな答えをもらったんだ。
ほかのヤツが加奈にそういうことするのはいいのかって叱られたり、
ほかのだれよりも、僕が一番加奈のことを想ってるって励まされたり、
僕の言ったような欲望が、男ばっかりのものじゃない、必ずしも汚いわけじゃないって教えてもらったり……
あと、今なんか北川にまでお膳立てされて……
けっきょく僕は、いろんな人に支えられてここに、加奈の前に立ててる」
「……うん」
と、加奈が短い相づちを打つ。
自信がなかったんだ。
キスをしたいとか、抱き締めたいとか、そういうのはみんな、男の身勝手な欲望だって思ってた。
加奈をけがしてしまう……。加奈をけがしたくもなければ、そんな自分になんてなりたくない。
そればかり、考えてた」
加奈は、じっと僕を見つめたまま、なにも言わない。
いや、なにも言わないんじゃない。
今は、僕が言わなくちゃいけない時間なんだ。
「いろんな人に相談もした。というか、お説教された。
でもおかげで、いろんな答えをもらったんだ。
ほかのヤツが加奈にそういうことするのはいいのかって叱られたり、
ほかのだれよりも、僕が一番加奈のことを想ってるって励まされたり、
僕の言ったような欲望が、男ばっかりのものじゃない、必ずしも汚いわけじゃないって教えてもらったり……
あと、今なんか北川にまでお膳立てされて……
けっきょく僕は、いろんな人に支えられてここに、加奈の前に立ててる」
「……うん」
と、加奈が短い相づちを打つ。

