加奈が、きゅうっと両肩を持ち上げて、首を縮める。
しかも、少し困った顔の、上目遣い。
「ヨシ、やっぱり……怒っちゃった?」
「……」
そのしぐさを見て、ただ単純に、ああかわいいなと思った僕は、もう負けだ。
情けないながら、悩殺されたのだ。
怒っちゃったもなにも、怒るに怒れない。
「……いや、もぉ、なんていうか……」
少しふらっと来て、ぱちんとひたいを押さえた。
長い溜め息が出る。
「じゃあ、あの図書室のも、お芝居だったわけだ……?」
「ん。……あんなことするなんて、聞かされてなくて、素でびっくりしたけど」
「……悠里や、西村さんも?」
「? 悠里くんと麻里亜ちゃん? え? なにそれ、知んないよ」
「――っ、加奈は知らなくっても、たぶんあの二人のことだからなぁ……
あの二人もグルだったんだよ、たぶん。あの二人に言われて図書室一端だから」
「へぇー、そうだったんだ!」
そうだったんです、はい。
西村さんなんか、猛虎のオーラをまとうくらい迫真の演技でございました。
しかも、少し困った顔の、上目遣い。
「ヨシ、やっぱり……怒っちゃった?」
「……」
そのしぐさを見て、ただ単純に、ああかわいいなと思った僕は、もう負けだ。
情けないながら、悩殺されたのだ。
怒っちゃったもなにも、怒るに怒れない。
「……いや、もぉ、なんていうか……」
少しふらっと来て、ぱちんとひたいを押さえた。
長い溜め息が出る。
「じゃあ、あの図書室のも、お芝居だったわけだ……?」
「ん。……あんなことするなんて、聞かされてなくて、素でびっくりしたけど」
「……悠里や、西村さんも?」
「? 悠里くんと麻里亜ちゃん? え? なにそれ、知んないよ」
「――っ、加奈は知らなくっても、たぶんあの二人のことだからなぁ……
あの二人もグルだったんだよ、たぶん。あの二人に言われて図書室一端だから」
「へぇー、そうだったんだ!」
そうだったんです、はい。
西村さんなんか、猛虎のオーラをまとうくらい迫真の演技でございました。

