十時という少し遅めの朝御飯――というかパンを食べながら、さて今日はどうやってヨシのとこへいこうかと、首をかしげる。

(勉強教えて――は、こないだ使ったし。ほかに……ほかに……)

考えるものの、いいアイディアが出てこない頭に、涙が出る。

出てきてほしいのは雫じゃなくてアイディアなのに……しょうもない脳みそだ。

クラスでも中の下だもの。ない知恵を絞るどころか、絞る知恵がそもそもない。

楕円形のテーブルでひとり、首を右や左にやっていると、お母さんがビーズを連ねて作ったのれんをくぐってやって来た。

「なに加奈、首でも痛いの?」

「違います~」

反論は、あっそ、と簡単に流された。

なんて冷たいの、ママっ。