「――お前……っ、北川!」

カーテンの閉められた窓を壁にして、加奈を押さえつけている北川を見つけた。

「んん!? んん――!!」

僕の声に反応した加奈は、片手を掴まれて窓に押さえつけられ、口も塞がれている。

僕の耳に届いたのは、言葉になっていない、くぐもった音。

それでも、満足に声をあげられないまま、「ヨシ!」と叫んでいるのがわかった。

なんとか空いている片手が、北川の頭の横から必死に、僕へ向けて伸ばされている。

「加奈!!」

状況を正確に理解するより早く、僕の中でなにかがぶつりと音を立てた気がした。

目玉の奥がカッと熱くなった。

電線並みに太いなにかが、のたうち回りながらちぎれたようだった。