運命よりも必然という言葉のほうが好き。

そう言った私に、彼は胸を張った。

張って、そして叩いた胸から聞こえたドンというおとも耳から離れないうちに、

「先輩はここで待っててくださいよ」

「え、ちょっと、光一くん?」

「いっからいっから。こういうのはッスねぇ、シチュエーションが肝心なんすよ」

私はぐいぐい、ぐいぐい、あぐいぐいと引っ張られて今、図書室にいた。

ずっといた。

というか、もう三十分くらいここで待ちぼうけを食らってる。

だからよく、状況と意味がわからない。

もう放課後だし、もちろん授業はない。

なにかでミスをしてとかの補習だってない。

私は部活にも入ってないから、フリータイムだ。

だから別に、なんの予定もない。

いくらだって、まあ、気が持つまでだけど、待ちぼうけをしたって大丈夫なんだ。