僕と加奈は幼馴染みだ。

家はすぐ隣同士。

だから最後の最後まで、彼女と帰りは一緒だ。

小学校からずっと僕の横には彼女がいて、彼女の横に僕もいた。

もちろん今も。



市電に揺られる時間は、短くない。

三十分近く、僕らはレトロで静かな世界に座り続ける。

そんな中で加奈がうたた寝してしまうのも、珍しくない。

子猫が甘えるみたいに、勝手に人の肩をよりどころにして。

加奈の寝顔は、ぶっちゃけおう。天使だ。

チクショウと唸るくらい、そう思う。

少し薄い唇も、ほんの少し覗く白い歯も、伏せられたまつげも、みんないちいち僕を惹き付ける。