別に、水族館はショーをしなくてもいいんじゃ? と思った。

のだけど、イルカが跳ねないとか、アシカの芸もないとか、

そういうことを考えるとちょっと、さびしいかもしれない。

水族館は魚や海の生き物が見れればそれでいいはずなのに、どうしてだろう。

たぶん、どこの水族館も今はアミューズメントパークっぽいからだ。

北川くんは少し申し訳なさそうに首をうな垂れさせた。

「すんません。イルカいなくて」

「ううん、別にいいよ」

「あ、でもサメはいるんすよ」

「さめ?」

「そうジンベエザメ! すンげえでかいヤツ!」

思わず、吹き出してしまった。