正座を少し崩したような女の子座りのまま、西村さんは一言も発さなかった。

視線はジッと床に向けられている。

いや、正確には、ぽんと置かれたショートケーキに。

彼女はとても真剣な表情で、

「……ヨシくん」

「なにさ」

「これ、今、ショートケーキ食べていい時だと思う?」

「西村さんの好きにしたら?」

「私の好きに? うーむ……うぅぅうーむむむむ……」

どうやら、出されたケーキを食べるかどうか、悩んでいるらしい。

腕組みをし、眉間にしわまで寄せながら、口がひょっとこのようになった。

ただ悩んでいるんじゃない。かなり悩んでいるみたいだ。