乙女系王子様

「だーめ。離してあげない」


クスクスと笑っている王子。

こんな時まで私をからかう!?


身じろぎをするけど、もっと強くぎゅうされてしまった。


「……無事で良かった」


耳元で聞こえた、小さな声。

そして、ゆっくりと身体が離される。


見上げた王子はすごく真剣な表情をしていて──…

すぐに、笑顔に変わってしまったけど。


「ごめんなさいね。もう、離さないから。──…行きましょ。花火始まっちゃうわ」


そう言って、また王子の右手が差し出された。


「……王子のせいじゃないよ?」


そう言って王子の手を取るも、優しい笑顔で流されてしまった──…