「ばーか、最初っから気づけよ」

「直さん、かっこよかったですよ」

「…おう、由宇」




バスケが縛り付けてるなら俺はそれさえも切り離す。

…瑠羽を苦しめる事はしたくない。

なぁ、由宇?



「少しわかったんだ」

「なにが?」

「ズルさと悪さが必要な理由がさ」

「…直さんも優しすぎなんですよ」




恋に“優しさ”なんて要らねぇよ。

…優しさは好きなやつにだけ与えられればいい。

だけど俺は、廉を嫌いになることが出来ない。

廉を応援してしまっていたようだ。




「はぁ……」

「直さん」

「…ん」

「当分また立ち直れないッスね」

「…ふっ、ばーか」



んなの、わかりきったことだ。

でも俺は、瑠羽の前で2度と“嘘笑い”はしない。

いや、もう出来ない。