後半も直は痛がる素振りなく圧勝した。
「直っ―…!」
「瑠羽」
「……」
あたしは何も考えずに、直に抱きついた。
周りからみたら“何してんだ”って思われるかな。
「…足」
「由宇から聞いたんだって?」
「う、ん…」
「まっ、勝ったから結果オーライってやつ?」
「…なんで」
「ん?」
わかるよね、直。
足もバスケにとったら大事なんだよ?
バスケはスピードが大事。
…もし無理して出来なくなったら。
「無理なんかしないでよ!バスケ出来なくなったらどうするの!?直だって…バスケ好きでしょう…?」
「…切りたいんだよ」
…まただ。
どうして切るの?
邪魔なの?
「バスケが出来なくなったらもうなにも囚われないだろ?」
「えっ…?」
「俺と瑠羽はバスケなんだよ。バスケが出来なくさえなれば瑠羽は…」
「バカだよ…直のばか!」
「……」
ごめんね、直。
あたしが素直になれば、
あたしがちゃんとしてれば直が苦しむ必要なんかなかったんだね。
「直」
「…ん」
「バスケ、好きだよね?」
「始まりと終わりだからな」
「…あたしもね、バスケ好き」
「ふぅーん…」
最初から直に見透かされてたんだね。
あたしの気持ちも全て。
「でも」
「……」
「あたしバスケよりやっぱりサッカーが好きみたい」
「……!」
やっと、見つけた。
素直に早くなってればよかった。
「おせぇんだよ、バカ」
「ごめんね、直」
「早く、行けよ」
「…もう」
「走れよ」
「え?」
「アイツに真っ直ぐ走っていけ!」
「っ、行く!!」
そう言ってあたしは走り出した。
あなたの――……、
廉の元へ。

