「…あーもうっ!」
「悩むなんて青春enjoyか!」
「恭さん、智さん」
「「よ、直」」
「お兄ちゃん…」
「ん?」
「もう恋なんてしたくないなんて思うじゃない?」
「そうだなぁ」
「俺は経験あんぞ。恭は遊んでる方だからねぇな」
「うっせ」
「…でも、気づかないうちにまた恋しちゃって」
「……」
「気づかないうちに夢中になって…」
「まぁ、恋はんなもんだろ」
「…恋って花火っぽくないッスか?」
「ほんとーに。あたしも最近恋の苦さを知ったんだ」
「「「…瑠羽」」」
「甘いだけの恋なんて存在しない。…嫉妬とか不安ばっかりだよ」
「…まぁ」
「でも人は、人を好きになることをやめない。…やめること出来ない」
「気づかないうち…だもんな」
「そっ。あたしは廉に気づかないうちに惹かれた。夢中になって…」
「もう、いいから」
“恋っていつの間にか…みてぇのない?”
“あるかもー!”
“いつの間にか好きになってんだよ”
“気づかないうち…にね”
“したくなんかねぇし”
“えー?恋愛は甘くて苺みたいじゃん”
“お前は、幼稚だな!苦いもんもあるっつの”
“なんか…ムカムカぁ”
いつしか廉と交わした会話。
懐かしくなるなんて。
本当に…廉の言う通り。
あたしは幼稚だった。
恋は甘いだけの物だと…、
苺みたいなものだと…思ってた。
苦さがあるなんて。
甘くないなんて、知らなかった。
気づかないうちに廉を好きになるまでは。

