「ごめんなさい…直。あたしは…どうしても…直から離れられない…!苦しめてるのはわかってる!」
……離れられない、のは俺の方。
瑠羽の“離れられない”と、俺の“離れられない”は意味が違う。
瑠羽は俺に対する、謝罪の気持ちが強くて“離れられない”んだ。
俺は、瑠羽が好きだから…瑠羽を忘れられないから“離れられない”んだ。
「今、幸せ?」
「……へ?」
俺が瑠羽に聞いてみる。
「…幸せ…」
「じゃあなんで…」
「え?」
「いっつも辛そうな顔してんだよ?いっつも俺んとこ来んだよ…。」
「…っ!」
「何であんな事言ったんだよ!なんで笑わねぇんだよ…幸せなら笑えよ!俺に遠慮しねぇでイチャイチャしろよ!」
そうしたら俺だって、忘れられたはずなのに。
中途半端な瑠羽の情が俺を苦しめる。
「廉が好きだから…俺と別れたんじゃねぇか」
「な、お…」
「いつまでも、俯いてんじゃねぇ」
「直…」
「俺に、嘘つくな」
「…っ!」
お前に今、嘘をつかれる事にだって悲しくなんだよ。
…マジ、情けねぇ。

