「バスケ、する?」
「…しねぇーよ、バカ」
「直、教えてよ」
「瑠羽うめぇーじゃん」
「直には劣ってる!」
「別に…いいじゃん?部活でしてるわけだし」
「…ダメだよ」
「え?」
「もう、頭の中空っぽにしたいの。ぐちゃぐちゃだから…」
「瑠羽…」
「バスケで忘れたいくらい」
…瑠羽。
きっと…廉で悩んでる。
うまくいってないんだろうか?
そんな疑問を持ちながら近くの公園へ向かった。
「……直」
「ん?」
「ごめん…ね」
「謝んなって言ってんだろうが」
「…直は、バスケしたくなかったでしょう?」
「…たりめーだ」
「あたしって…本当にバカなの」
パス練をしていた。
瑠羽の声が、震えてる。
…瑠羽は、泣いてる。
「バカだから…ごめんね」
「なにがだよ」
「あたし…直の苦しみに…気づけなくて…」
「…っ!」
“苦しみ”…か。
瑠羽が泣くから、俺は笑った。
雨が上手く、俺の涙を隠してくれた。
「あの日…直泣いてたの、知ってるよ」
「……え…」
「あたしが、見逃すはずないでしょ…!」
「…バッカじゃねぇの?」
「直…あたし直と別れなきゃ…よかったって…後悔してる…!」
「……っ…」
なぁ、それは一時の迷いじゃないのか?
廉の代わりになんか、俺はなれないぞ?
…いや、なりたくもない。
俺は、“俺”で瑠羽に見てもらいたいから。

