目覚めると瑠羽が居た。






「直、おはよ。」







そんな柔らかな瑠羽の言葉。

それだけで心が癒される。





「直、弱ってるね」

「…おはよ」






不意に、“弱ってる”と瑠羽に言われた。

瑠羽にバレるくらい、俺には限界が来ていた。



瑠羽を独り占めしたくて。

瑠羽の辛そうな顔は見たくなくて。

いつだって見たいのは、瑠羽の笑顔。







「直、泣いてたの?」






……図星をつかれた。







「…なわけねぇだろ…」






……本当は泣いていた。

瑠羽と過ごした幸せな日々を思い出すと笑みが零れるのに…。

なのにいつだって、“あの日”も思い出して。

泣いてしまった…いや違う。

涙が伝ってるのにさえ、気づかないんだ。

あの日からうまく笑えてない気がする。

瑠羽に対しては、本気だけど。







「そっか…」







どこか悲しそうな声。

瑠羽が悲しんでる、なんて嫌なんだ。

最近は廉とやっと付き合ったくせに、あいつのせいで瑠羽は辛い顔ばかり。

…俺ならあんな顔させないのに。






「…やべ、安心する」







俺は、瑠羽を抱き締める。


“離したくない”…無理な事だけど。

今でも好きなんだ。

瑠羽と過ごした、日々が幸せで濃すぎるんだよ…。