「直、濡れちゃうから…帰ろ?」
「……」
直は首を横に振った。
「風邪ひいちゃうよ?」
「もう少し、いる。雨、好きなんだよ」
「…っ!」
“雨、好きなんだよ”
と告げた直の瞳から、
一筋の涙が流れたのをあたしは見逃さなかった。
ううん、見逃すことなんか出来なかった。
あたしと直はずっと一緒に居た。
離れるなんて、できないはずだった。
…あたしが、直を傷つけた。
廉を好きになったから、直は無理して笑うようになった。
――いつからか、直の優しい笑顔は見れなくなった。
「瑠羽かよ」
「…あたしで悪かったね…」
いつしか直は、あたしにさえも“作り笑顔”になった。
これがすごく、痛くて辛かった。

