「なっ…んで…!」
“なんで”と瑠羽は言った。
…なんで?
俺が不思議に思ってると、瑠羽は泣きながらも言葉を繋いだ。
「なっんで…、優しく…するの!なっんで…抱き…締めるの…よ…!」
「…ごめん」
やっぱり瑠羽は、俺に抱き締められたくなかったんだ。
あー、もう無理なのかな。
瑠羽にこの思いを一生伝える事が出来ないまま…。
嫌な考えばかりが浮かんで、消えてくれない。
「どうっ、して…!嫌いなっ、やつに…優しくしたりするの!ズッ…名前…呼ばせる…の!!」
“嫌いなやつ”?
瑠羽は今、そう言った?
瑠羽は勘違いしてる…のか?
俺が瑠羽を嫌い?…ふざけんな。
そんなことあり得ない。
瑠羽を好きなのに。
「…さよならって…言ったくせに…」
そう言った瑠羽の顔は、
とても切なくて悲しそうで、胸が痛んだ。

