「れ、廉!」

「…っ!」






好きで好きで堪らない瑠羽の声が聞こえた。


瑠羽の声で“廉”と呼ばれた。

“渡辺くん”じゃなくて、
“廉”と。






「あ、の…ハァ…」

「大丈夫か?走っちゃダメだろ」






走って来たのか、息が荒い瑠羽。

喘息持ちだからあんま無理はしないでほしい。







「…あの、ね…」

「ん?」

「これ!」

「あ、貸したやつ?」

「ありがと、ね」

「あぁ、わざわざさんきゅ」





今日俺が貸した、

“シャーペン”と“消ゴム”。

朝よりも、瑠羽と話せてる。

俺たちを繋いでくれてるみたいだ。