『な、何ですか少年?』




吃驚しながらも、少年に目を向ける。




口元の両端に置かれた小さな指は、ゆっくりと左右に引っ張られる。




まさか……。




『笑わせて……くれようとしているのですか?』




「!」




コクコクと頷く少年に、ガラにもなく泣きそうになった。




『私は今、笑えていますか?』




コクリと笑いながら頷く少年に、勇気をもらえた。




笑顔の練習……してみようかな。





『ありがとう……少年』





私の口元が微かにほころんだ。





エンド