『少年の目に、魂が宿ってなかったんです』 私の説明に、狐さんは何も言わない。殺気を解いてただ、静かに聴いてくれている。 『その目は、狐さんに会う前の私にそっくりでした』 顔を上げたときの少年の目は、確かに美しい色をしていた。 でも、その瞳に希望の光はミジンも感じなかった。 この世に何の期待もせず、未練もなく、どうして今生きているのかさえわかっていない。 そんな目をしていた。 そう……数ヶ月前の、私と同じ様な《目》 『だから、少年をほって置く訳には行かなかったのです』