視線の先には……上から下まで泥だらけの、一人の男。 「本当か!?」 「はい!」 男達は喜びあった。 敵の船が沈んだ……僅かだが、勝利の光が見えた瞬間だった。 「大丈夫だ、まだ俺らは負けない……」 喜び溢れる建物の中。 そんな中でも、雅は再び、唇を引き結んだ。 (大丈夫。大丈夫……)