桜廻る





懐の中を確認すると、市村に届けられた櫛は消えている。


それが証拠だった。





「いいに決まってるでしょ!ほら、早く!」


「ありがとうございます!」





雅はお辞儀をすると、踵を返す。


そして、八重と時尾がいる方を向き……





「今までありがとうございました!」





精一杯の感謝を伝えた。


八重達は、笑顔で雅を見送った。