振り返るとそこには、不思議な雰囲気を漂わせた男が立っていた。 男は歩いてくると、眠っている山崎を見つめた。 「……」 「お前の分も戦う。……だからもう、休め」 男はそれだけ言うと、雅を見もせず立ち去ろうとした。 「あの……あなたは?」 そう尋ねると、男は視線を少しだけ、雅に寄こす。 それから数秒後、口を開いた。 「……斎藤一」