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騎士団長ランスロットは、この何日か大忙しだった。


オーランドは黒魔法師のプリンセスを連れて逃亡するし、捕えたと思ったらプリンスなる人物にペンタグラムを奪われた。


精霊が隠れてしまったあのとき、脅威が一気に姿を消してくれたのは、正直助かったが。


「団長……空が……」


隣にいたフェイの言う通り、空が突然真っ赤に染まりだした。


「とうとう動き出したか」


あのペンタグラムが、黒魔法師たちにとってどんな存在かは知っていた。


王族に代々伝わる力が、動き出した……。


「皆の精霊は、戻ってきたか」


「大部分は……。しかし、今回も敵と対峙したらどうなるか……」


「ランスロット様、私たちは勝てるのでしょうか」


不安げなフェイとアリスが、ランスロットを見上げる。


クライドは一命をとりとめたが、とても戦える状態ではない。


他の白魔法師たちのダメージも意外に少なかったが、使役していた精霊たちが一度姿を隠してしまったことは、全員にショックを与えた。


そしてUnkownと呼ばれていた、騎士団と組織の味方だったはずのオーランド。


彼がいつもの穏やかな自分を失い、悪魔に乗っ取られた姿も同様。


しかも彼は今行方不明で、プリンセスと一緒にいると思われる。


彼は、どっちにつくのか?