「おっ、遅れてすいませんでした!!」

「大丈夫、大丈夫。俺らも、今来たばかりだから。じゃあ、荷物を置いてから遊びに行こうか」

「はい!」

私達は、泊まってるホテルに戻り荷物を置いて、遊園地に行く。

「やっぱり広いねー!」

雪斗が、両手をあげて叫ぶ。

「優花、人多いから迷子にならないようにね?」

藍が、私の手を握る。

「うん。ありがと」

「いやー。最初、何乗るか迷うねー!」

「そこは、遊園地定番のジェットコースターでしょ!」

「会長ー!ジェットコースターで、良いよね!」

雪斗が、辺りを見渡す。…会長がいない…。

「あっ…あれ?かっ、会長?」

「もー!会長?隠れてないで、出てきてよー!」

直樹君が、辺りを見渡して怒る素振りをする。だけど、やっぱり会長は出て来ない。

「……まさか、迷子……?」

蓮さんの言葉に皆が固まる。

「……まっ、迷子センターに行った方が…」

私は、会長がいなくなった事で軽くパニックになる。

「ゆっ、優花ちゃん、おっ、落ち着いて!ゆっ、祐希は、ふっ、ふっ、ふざけてるだっ、だけだから!」

蓮さんが、私よりパニックになる。二人で顔を真っ青にしてパニック状態が、どんどんハードになっていく。

「まず、二人とも落ち着け」

風真君が、私と蓮さんの背中を軽く叩く。

「そっ、そうだね。おっ、落ち着かないと…。ふぅ……。ふぅ……」

私は、自分を落ち着かせるため大袈裟に深呼吸をする。

「まず、どこら辺まで、会長がいたか分かる人は?」

要君は、いつも冷静だ。ちょっと、羨ましい…。

「俺、祐希と一緒に部屋出たよ?」

蓮さんは、落ち着いたのか、顎に手を当てて思い出そうとしていた。

「後…。僕、会長と話した。遊園地に行く途中の時に…」

藍が、腕を組んでいつもと同じ声のトーンで皆に告げる。

「後は?誰かいる?」

「ぇっと…。多分、俺が会長といたの最後かも。さっき、会長に頭叩かれたから。ジェットコースター乗ろう!って言う、ちょっと前位に…」

「どこら辺で?」

「そこ」

直樹君は、自動販売機の方を指差す。結構近いな。自動販売機と私達の距離。五メートル位…。

「どこ行ったんだろ?会長…」

「皆で探すしか無いじゃん」

「そうだな。会長、どうせ一人で俺達の事探してるだろうな…」

風真君が、自動販売機の所まで歩いて行く。私達は、風真君に着いていく。

「会長、多分飲み物買ったと思う。だって、会長の好きなミルクコーヒがあるしね」

要君が、探偵さんみたいな推理をしていく。

「多分、じゃあ、会長の事だから…。そこの、小さい屋台で綿飴買って…」

「私達が、いなくなった事に気付いて探し始める…。って事ですよね…。多分」

「優花ちゃん、大正解ー!じゃあ、手分けして探す?それとも、皆で行動しながら会長の事探す?」

直樹君が、何故か楽しそうに皆に二つの選択肢を与える。

「勿論、僕は優花と二人で探したいな」

藍が、私の肩を抱き寄せる。ちょっと、ビックリして心臓が飛び跳ねる。

「ダメ!絶対、藍、優花と遊ぶつもりだもん!観覧車とか乗ってさ!」

雪斗が、私の手首を引っ張って藍から私の事を引き剥がす。

「バレた。…まぁ、いいや。今度、僕、優花とデートする約束したしね」

「はっ?いつ、どこでだよ」

風真君が、藍の目の前に立つ。藍は、風真君を、ちょっと見上げてふっと笑う。

「風真に関係無い事じゃない?…優花だって、良いよって言ったしさ…。ねっ?…優花?」

「うん。約束だから」