「じゃあ、勉強も忘れず!楽しい夏休みをすごせるように!…さようなら」

担任の先生が挨拶をするとクラスの皆は、笑顔で教室から出て行った。私は、この後生徒会室で仕事があるから、藍と一緒に生徒会室に行こうと思い、藍の所に行くと……。

「あーい!一緒に行…」

私が、声をかけると同時に、クラスメートの女の子と声が重なった。

「宮内君……」

その女の子は、小柄で可愛らしい女の子だった。

「何?優花」

でも、藍は女の子の声が聞こえなかったのか、私の方に顔を向けた。

「え?…あ、その子、藍のこと呼んでるよ……?」

私は、苦笑いで、女の子の方に視線を持っていった。藍は、チラッと無表情でその子に視線を向けた。

「何?」

「あ、あの…。宮内君に話があって……」

女の子は、顔を赤くして、藍に話し掛けた。

「今話してくれない?僕、優花と行かないといけない所があるから」

「ぇ…、あの、2人で話したい…」

「藍、話聞いてあげた方が良いよ?大事な話かもしれないじゃん!私、1人で先に行ってるね!」

「え?…ちょっ……」

私は、藍の話を聞かないで、1人で教室から出た。

多分、聞かれたくない話だろうし!…勉強教えて下さい!とか、さ!

「そういえば、1人で生徒会室行くの久しぶりだなー」

私は、人が余りいない廊下を歩きながら、独り言をもらし生徒会室に向かった。

「優花ー!」

「………雪斗!」

後ろから、昔から聞いている声で名前を呼ばれたから振り向くと。予想通り、心が安心するような声は雪斗だった。

「あれ?藍は?」

チラチラッと、雪斗は辺りを見渡す。

「ん?なんかね、女の子に呼び出されてた!」

「あー………、あれか……。多分、生徒会委員の皆ね。早くて1時間、遅くて3時間生徒会室に来ないよ……」

雪斗が、苦笑いして私の事を見てきた。

「そうなの?!何で?!」

「告白。…明日から夏休みだからね」

「あー!!告白か……。だから、あの子顔が真っ赤だったんだ…」

やっと理由がわかった…!だからか!私が考えていたバカみたいな事は有り得ないんだ……。

「あれ?…雪斗は?」

「ん?僕は絶対ないよー。モテな…」

「雪斗ー!やっと見つけた!話あるんだけど、今、ちょっと良い?」

雪斗が、話してる途中で綺麗でスポーツ万能ぽい女の子が雪斗に話し掛けた。

「うん、良いよ。ごめんね、優花。先行ってて……!」

「あ、うん……」

私が、返事をすると、雪斗は綺麗な女の子と歩いていった。

「…話?昨日話してた勉強会のこと?」

「ううん!違うよ…。もっと大事な話!」

…………告白…ねぇ……。雪斗もちゃんとモテるじゃん……。

また1人になった私は、二階の生徒会室に向かった。